2024年の米国経済最大の懸念だった物価上昇(インフレーション)が来年も継くとの警告が出された。
20日に発足するドナルド・トランプ第2政権が輸入品に高関税を課せば、物価上昇は避けられないと経済専門家らは予測している。
海外メディアは、昨年下落した米国の物価が連邦準備制度(FRB)の目標である2%以上を頑固に維持している中、今年再び反発することをニューヨークのウォール街が懸念していると報じている。
ドイツ銀行のチーフエコノミスト、マシュー・ルチェッティ氏は昨年末のYahoo!ファイナンスとのインタビューで、米国の物価について「現在より緩やかな鈍化が予想されるが、FRBにとっては非常に不快な高水準となるだろう」と述べた。
米国の消費者物価指数(CPI)は2022年9月に前年同期比9.1%まで上昇した後、FRBの利上げにより9月には2.4%に低下した。その後、わずかな反発傾向を示している。
特に変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアCPIは予想を上回る高い数値を示し、11月には3.3%上昇した。
また同期間、FRBの物価参考指標である個人消費支出(PCE)物価指数も2.8%となり、いずれも2%を上回った。
ルチェッティ氏は米国のインフレは今後サービス業が上昇を牽引するとし、保険やヘルスケア、航空運賃などの業種を挙げた。
また、住居費インフレが依然として高いことも指摘した。
FRBは展望報告書で、今年の米国CPIの最高値を当初予想の2.2%より高い2.5%に引き上げ、2026年に2.2%に低下した後、目標の2.0%は2027年に達成されると予測している。
これはウォール街の予測とほぼ一致している。
英国の経済分析機関のオックスフォードエコノミクスの米国担当エコノミスト、ナンシー・バンデンフーテン氏は、発足予定の米国トランプ第2期政権の関税政策と移民関連政策によるリスクに言及し、「これによりインフレが高い方向に進むことが示されている」と述べた。
エコノミストらは、輸入品への高関税や企業減税、移民削減といったトランプ次期大統領の公約がインフレを加速させるだけでなく、FRBの利下げ計画を複雑化させるだろうと見ている。
ノーベル経済学賞受賞者でコロンビア大学教授のジョセフ・スティグリッツ氏は11月、Yahoo!ファイナンス主催のイベントで、米国経済はすでに軟着陸に成功したが、トランプ次期大統領の就任式の日を指し「これは来年1月20日に終わるだろう」と述べた。
トランプ次期大統領はすべての輸入品に10%の関税を課し、特に中国からの輸入品には60%もの関税を適用すると予告している。
スティグリッツ氏は、このような高関税により物価が急騰し、労働者がより高い賃金を要求することになるとし、相手国の報復関税も考慮すべきだと批判した。
彼は、外国の報復措置と高金利が重なればグローバル経済の減速が起こり、インフレとスタグフレーション(不況下の物価上昇)または、低成長という最悪の事態に直面すると警告した。
フランスの投資銀行BNPパリバも、米国の輸入関税により今年末から2026年まで物価が顕著に上昇し、FRBが利下げを中断せざるを得なくなると予測している。
また、今年末に米国CPIが2.9%、2026年末には3.9%まで上昇すると予想している。