飛行時間7,000時間のパイロットYouTuberが語るチェジュ航空機事故
元パイロットでYouTuberの「資産運用を解説するパイロット」が、務安（ムアン）国際空港で発生したチェジュ航空機事故の際、コックピットにいた機長について評価した。
先日2日、「務安空港の胴体着陸は最高だったが、結局『これ』が問題だった」というタイトルの動画が投稿された。
動画内でYouTuberは「最近、国民全体が悲しむほどの大事故を経験した」とし、「務安空港で航空機が胴体着陸を試み、多くの犠牲者が出た」と述べた。
彼は「私も事故機と同型機の機長として非常に心が痛んだ。この件については触れたくなかったが、多くの疑問や操縦士への批判が高まっている」と語り、「真実を伝える必要があると感じ、この動画を撮影することにした」と明かした。
飛行時間が7,000時間に達するというYouTuberは、事故の経緯を振り返り、「緊急事態が発生した場合、まず航空機の制御を優先し、その後に管制塔に連絡する」と説明した。
管制塔から鳥に注意するよう指示があった直後にバードストライク（鳥との衝突）が発生し、機長は航空機を制御した後、「メイデー」で緊急事態を通報したという。
さらに、「5時59分に『メイデー』を発したのではなく、8時59分にはすでに初動対応を終え、非常事態を宣言していた」と述べ、着陸装置を展開しなかった理由について、「両エンジンが損傷し、不可能だった」と伝えた。手動で着陸装置を下ろすこともできるが、時間が足りなかったと主張した。
着陸装置を強制的に下ろすレバーはあるが、作動に約2分かかると説明した。しかし、着陸許可が降りてから実際に着陸するまでの時間はわずか1分であり、時間的な余裕がなかったと述べた。
また、YouTuberは「両エンジンが停止すると油圧系統に問題が発生し、操縦桿が非常に重くなる」と説明し、「副操縦士が一緒に操縦桿を操作していた可能性が高い」と分析した。
二人で操縦桿を操作していたため、手動で着陸装置を展開する「マニュアルギア展開」は実質的に不可能だったと見られる。
「史上最高の胴体着陸」と評価
YouTuberは、減速装置が正常に機能しなかった原因について、両エンジンが停止していたためだと説明し、「（機長は）実際にリバーサー（逆推力装置）を作動させたが、エンジンが停止していたため逆推力を得られなかった」と述べた。
海ではなく滑走路へ胴体着陸を試みた理由については、「海上での胴体着陸の生存率は20%だが、滑走路での適切な胴体着陸なら生存率は90%に達する」と説明した。さらに「パイロットは史上最高レベルの胴体着陸を行った」とし、「着陸時には『よかった』と思ったはずだ」と語った。
YouTuberは着陸時の映像を再度確認しながら「本当に完璧な胴体着陸だった。機体にほとんど損傷がないほどの技術を見せた」と評価した。
コックピットで腕を上げていた理由については「前方への慣性を抑え、リバーサーを操作して機体を停止させようとしたもの」とし、「この話をすると感情が込み上げてくる」と述べた。
彼は、大惨事の原因はコンクリート製の土手だと伝え、「航空機がコンクリート製の土手に衝突すれば、爆発は避けられない」と指摘し、同様の構造物がある他の空港も早急に改修すべきだと主張した。
さらに韓国国内の空港にEMASの導入を提案した。EMASは航空機制動安全区域で、滑走路末端に設置され、オーバーランした航空機を減速させ、安全に停止させるために設計されたシステムだ。航空機がEMASに進入すると、地面が崩れ、強い摩擦力と減速力が生じる。
彼は「コンクリート製の土手を撤去し、EMASを必ず設置すべきだ。そうすれば、今回のような事故でも多くの命を救えるだろう」と述べた。
また、「機長と副操縦士は最善を尽くし、パイロットは史上最高の胴体着陸を行った」とし、「後部の乗客179人を乗せてコンクリート壁に突入した瞬間の心境は、我々には想像もつかないだろう」と語った。