アメリカ西部ロサンゼルス(LA)の海岸地域で発生した山火事が、強風にあおられて制御不能な勢いで拡大する中、火災の惨状を捉えた航空写真が公開された。
9日(現地時間)、「ロサンゼルス・タイムズ」などの報道によると、宇宙技術企業マクサー・テクノロジーズは、LAの火災規模と被害状況を鮮明に示す火災発生前後の衛星写真を公開した。
衛星写真によると、7日朝に最初の山火事が発生したLA海岸地域の高級住宅地「パシフィック・パリセーズ」は壊滅状態となっている。この地域の高級住宅地マリブの海岸線は黒く焦げ、海岸沿いの建物は全焼し、その痕跡さえ見つけるのが困難な状況だ。
山火事が発生したLA北東部内陸のアルタデナ地域の様子も公開された。アルタデナのイートンでは、パシフィック・パリセーズで火災が発生した数時間後に山火事が発生した。火災発生前日の6日、アルタデナの住宅街では手入れの行き届いた屋根が一望でき、あちこちに緑豊かな木々が植えられていた。しかし、火災発生翌日の8日には、この住宅街の家々は完全に焼失し、廃墟と化した。屋根は跡形もなくなり、青々と茂っていた木々は真っ黒な灰となった。同じ日に撮影された別の写真では、まだ赤い炎に包まれている建物の様子も確認できる。
ロサンゼルス・タイムズは「マリブとアルタデナ地区の破壊された様子を捉えた衝撃的な前後の衛星写真」と報じた。英ガーディアンやシドニー・モーニング・ヘラルドなど多くの海外メディアも衛星写真の公開を報じ、「写真から火災の破壊力が如実に伝わる」「まるで爆弾が投下されたかのようだ」と報じている。
現在、LAでは同時多発的な山火事が3日目を迎えている。AP通信やCNNなどによると、この日午前9時時点でLA郡では5件の大規模な山火事が発生しており、その中でも最大規模の「パリセーズ山火事」と「イートン山火事」は依然として鎮火率0%だと消防当局が明らかにした。LAの山火事により現時点で少なくとも5人が死亡し、負傷者も多数に上る。これまでに確認された死者は全て、イートン山火事が発生したアルタデナ周辺で発見された。しかし、犠牲者の集計はまだ初期段階にあり、死者数はさらに増加する可能性あるとの懸念も出ている。
強風などの影響で消火活動が難航しており、今回の山火事による被害額が過去最大になるとの予測も出ている。JPモルガンは、今回のLA山火事による経済的損失が同日時点で500億ドル(約7兆8,790億円)に達すると推定している。消火作業に進展が見られない場合、被害規模はさらに拡大する可能性があると専門家は分析している。これまでアメリカの山火事による最大の被害額は、2018年に北カリフォルニア州で発生したキャンプ山火事で、125億ドル(約1兆9,700億円)だった。