今年の賃上げを協議する「春季労使交渉(春闘)」が今月始まる。経済界を代表する経団連(日本経済団体連合会)と日本最大の労働組合である連合(日本労働組合総連合会)のトップが会談する。19日の日本経済新聞によると、十倉雅和経団連会長と芳野友子連合会長が22日に会談し、意見交換を行うという。事実上、この日から春闘が始まることになる。
賃上げについて経団連側は肯定的な姿勢を示している。十倉氏は7日の記者会見で「賃上げは2023年が始まりの年、2024年は加速の年、2025年は定着の年」と述べ、3年連続での高水準の賃上げに前向きな見解を示した。連合は昨年の中央執行委員会で、春闘に関して5%以上の賃上げを要求する方針を決定した。連合によると、2023年の賃上げ率は3.58%、昨年は5.1%だった。昨年の上昇率は1991年の5.66%以来、33年ぶりの最高値となった。
連合側は「物価上昇を考慮した実質賃金は昨年8月から4カ月連続でマイナス」とし、「賃上げ率が物価上昇に追いついておらず、個人消費が低迷している」と懸念を示した。連合は特に今年、中小企業の賃上げに注力する方針だ。組合員数300人未満の中小企業の賃上げ率は2023年が3.23%、昨年が4.45%だった。連合側は「大企業と中小企業の格差を埋めるため、今年は中小企業の労組に6%以上の賃上げを要求する」と明らかにした。連合が中小企業の労組に対して別途高い賃上げ率を要求するのは2014年の春闘以来初めてだ。
大企業の場合、5%以上の賃上げに前向きだ。人材不足の中で優秀な人材を確保するのが目的だ。三井不動産は「3年連続で5%以上」、旭化成は「少なくとも昨年(6.05%)水準を維持」、すかいらーくホールディングスは「6.4%を目標」などを掲げている。
一方、中小企業を代表する日本商工会議所の小林健会長は「そこ(6%以上)までは難しい」との反応を示している。中小企業のコスト上昇を大企業などに価格転嫁するのが容易ではないことが大きな理由だ。春闘の賃上げ率は、今年7~8月に決定される2025年度の最低賃金引き上げ幅にも影響を与えると予想される。現在の日本の全国平均最低時給は1,055円だ。岸田首相は2020年代に全国平均1,500円を目指しているが、これを達成するには毎年7%台の引き上げが避けられない。