親・仮想通貨路線を明確にしてきたドナルド・トランプ大統領は23日(現地時間)、仮想通貨関連政策を検討するワーキンググループの新設を指示した。トランプ大統領はこの日、ホワイトハウスの大統領執務室で、トランプ政権の仮想通貨・AI総責任者に任命されたデイビッド・サックス氏同席のもと、仮想通貨ワーキンググループ新設を含む行政命令に署名した。
仮想通貨ワーキンググループは、デジタル資産関連政策についてホワイトハウスに助言する役割を担い、財務省、司法省、証券取引委員会(SEC)、商品先物取引委員会(CFTC)など政府機関が参加する。同グループは仮想通貨規制の枠組み構築に加え、国家レベルでのデジタル資産蓄積方法の評価を含む立法提案を盛り込んだ報告書を、今後約6カ月以内にトランプ大統領に提出する。
行政命令には、仮想通貨企業向け銀行サービスの保護や中央銀行デジタル通貨の創設禁止も盛り込まれた。トランプ大統領はこの措置について「国に多くの利益をもたらすだろう」と述べた。また、同席したサックス氏はワーキンググループが「トランプ大統領の指導の下、米国を仮想通貨の世界の中心地にする」と語った。
仮想通貨業界は、仮想通貨に友好的なトランプ大統領が昨年11月の大統領選で勝利したことを受け、ビットコインの戦略的備蓄や仮想通貨諮問委員会の新設などを実現する行政命令を求めてロビー活動を展開してきた。これに先立ち、米証券取引委員会(SEC)は21日に仮想通貨タスクフォース(TF)を設置した。また、トランプ大統領は代表的な仮想通貨ビットコインを取引手段とする麻薬等の密売サイト「シルクロード」創設者のロス・ウルブリヒト氏を同日恩赦した。2013年に逮捕され、2015年に終身刑を宣告されて服役中のウルブリヒト氏への恩赦は、仮想通貨支持者を意識した措置と解釈されている。
さらにトランプ大統領は「AI関連の米国のリーダーシップに対する障壁除去」と題した行政命令にも署名した。ホワイトハウスが公開した行政命令全文によると、「この命令は米国のAI革新の障害となるAI政策と指針を撤回し、米国がAIで世界的リーダーシップを維持するために断固たる行動を取れるようにするもの」としている。また、行政命令は「米国の政策は人類の繁栄、経済的競争力、国家安全保障を促進するため、世界的に米国のAI関連の圧倒的地位を維持・強化するものである」とし、これを実現するための行動計画を180日以内に策定するよう当局者に指示した。
トランプ大統領はさらに、米国の科学技術リーダーシップの将来像を示すため、学界・産業界・政府の人材を結集した科学技術諮問委員会設立のための行政命令にも署名した。加えて、ジョン・F・ケネディ元大統領とその弟ロバート・F・ケネディ元司法長官、公民権運動指導者マーティン・ルーサー・キング牧師など、銃撃で暗殺された3人の歴史的人物に関する連邦捜査局(FBI)の機密資料を公開(機密指定解除)する行政命令にも署名した。また、中絶反対デモ参加者23人に対する恩赦案にも署名した。