米空軍の第6世代戦闘機「NGAD(次世代航空優勢)」の開発は、費用対効果が主な理由で昨年7月から一時中断されている。今後5年間に必要な開発予算は285億ドル(約4兆4,333億円)に達し、1機当たりの価格は「F-35」の3倍の価格となる3億ドル(約466億円)と予想されている。
2日、米空軍などによると、ロシア・ウクライナ戦争で低価格ドローンの戦闘効率が実証され、有人戦闘機よりもリスクとコストが低いとの評価も影響したという。そのため、米国防総省は最近ドローン開発に注力していた。 しかし専門家らは、ドローンは戦術的には効果的だが、長距離作戦が求められるインド太平洋地域では限界があると指摘する。
さらに、昨年12月26日に中国が予想より3年早く、第6世代の試作機を中国のSNS「微博(Weibo)」で公開し、米空軍に少なからずの衝撃を与えたとされる。
中国の成都市上空で捕捉された「J-36」と「J-50」の2種の試作機は、同時に異なる設計を披露し、技術力を誇示した。J-50は3基のエンジンを搭載し、高出力電気の生成が可能で、電磁エネルギー兵器の運用にも有利だと分析された。両機種ともAI(人工知能)ベースの自律飛行と目標認識機能を備え、最大100機のドローンを同時に制御できるという。
これにより、米国はすでに2020年に第6世代試作機の試験飛行を実施しているにもかかわらず、中国が米国より先に実戦配備する可能性まで指摘されている。
本来第6世代戦闘機が備えるべき概念ではあるが、特に中国の第6世代戦闘機で注目すべき点は、両試作機がメタマテリアルと能動的な偽装システムを適用した全方位・能動型ステルス機能を備えていることだ。これは航空機のあらゆる方向からのレーダー探知が回避できる技術で、リアルタイムで敵のレーダー周波数に合わせてステルス特性を調整する機能があるとされる。
米国が中国の戦闘機開発の進展に刺激を受け、空中優勢の低下への懸念が高まる中、中断していた戦闘機開発を再び加速させるとの見方が出ている。
最近、米空軍のダグ・ウィッカート准将も、2027年までに西太平洋で中国の現代式戦闘機が米軍に対して12対1で優勢になると警告し、懸念を表明した。第6世代戦闘機の開発が再開されれば、防衛産業界にも大きな変化が予想される。
ただし、米国の「政府効率化省(DOGE)」を率いるイーロン・マスク氏は将来の戦争における有人戦闘機の価値に懐疑的な立場を示しており、米空軍の空中優勢へのアプローチにどのような影響を与えるかは未だ不透明だ。トランプ第2期政権での第6世代戦闘機の開発再開決定が注目されている。