昨年、世界の金(ゴールド)取引量と総取引金額、平均取引価格がすべて史上最高を記録した。
世界金協会(WGC)の発表によると、昨年の世界の金取引量(店頭取引含む)は総計4,974トンに達し、過去最高を更新した。第4四半期の取引量も前年同期比1%増加し、四半期ベースの最高記録を更新した。
ロンドン金取引所の午後公示価格では、昨年中に金価格が40回の最高値を更新した。第4四半期の平均価格は1オンス当たり2,663ドル(約40万5,000円)で過去最高を記録し、年間平均価格も1オンス当たり2,386ドル(約36万3,000円)と最高値を更新した。前年比23%の上昇となった。
金の総取引金額は、第4四半期だけで1,110億ドル(約16兆8,800億円)、年間では3,820億ドル(約58兆920億円)に達し、いずれも過去最高を更新した。特に、各国中央銀行の需要が顕著であり、3年連続で1,000トンを超える金を購入。第4四半期の購入量も333トンと前年を大幅に上回った。
金投資額も昨年は1,180トンと前年比25%増加し、4年ぶりの高水準を記録。金上場投資信託(ETF)への投資流入が目立った。一方、金地金や金貨の取引は1,186トンと2023年とほぼ同水準を維持したが、金地金投資は増加した一方で、金貨取引は減少した。産業分野における金の需要も前年比7%増の21トンに達した。人工知能(AI)ブームが金需要の増加が要因となったと考えられる。
一方、金装飾品の需要は11%減の1,877トンとなった。金価格の上昇により消費者の負担感が増したことが要因とみられる。ただし、金価格上昇により金装飾品への支出額は9%増加し、の1,440億ドル(約21兆9,000億円)に達した。
今年の見通しについては、世界経済の不確実性が高まる中、各国中央銀行とETF投資家がリスクヘッジ手段として金を活用し、需要を牽引すると予測している。一方、金装飾品の需要は引き続き圧力を受ける可能性が高いとの見方を示した。実際に今年の金価格はこれまでに9%上昇しており、市場の注目を集めている。