
オーストラリアのスタートアップ企業が、人間の脳細胞で動作する世界初の商用バイオコンピュータを公開し注目を集めている。
5日(現地時間)、ABCニュースなどの現地メディアによると、オーストラリアのスタートアップ企業コルティカル・ラボ(Cortical Labs)は、スペインのバルセロナで開催中の世界最大のモバイル通信展示会「MWC(Mobile
World Congress)2025」で、バイオコンピュータ「CL1」を発表した。
人間の脳細胞で動作するコンピュータは、これまでSF映画の中でしか見られなかった。しかし、コルティカル・ラボはそれを現実した。

研究チームは、血液サンプルから人工多能性幹細胞(iPS細胞)を作成する過程で神経細胞を培養し、それをシリコンチップ上に配置して電気的刺激をやり取りできる生体ネットワークを構築した。外部のコンピュータなしで自律的に動作する、世界初の生体ニューロンシステムだ。
CL1は生きた細胞で動作するため、実験室のような生命維持システムで構成されている。ポンプ、ガス、温度調整装置により、神経細胞は最長6か月間生存し、コンピューターチップのように機能する。

生物学的知能オペレーティングシステム(biOS)は、ニューロンを通じてコードを配布し、計算作業を実行できるようにする。研究チームは「非常に速く柔軟に学習するため、ChatGPTなどの既存の大規模言語モデル
(LLM)の訓練に使われる従来のAIチップを超越する」と説明した。
効率的な学習に加え、電力消費の面でも利点がある。現存するAIの動作には膨大な電力が必要だが、CL1はスタックあたり約850〜1,000ワットの電力消費で動作し、プログラミングが可能だ。
ただし研究チームは、比較のためにChatGPTに言及したものの、生成AIのCL1を生成AIの代替として開発したわけではないと強調した。ブレット・カガン博士は「ニューロンの動作により、医学研究などの特定分野で有用に活用されるだろう」と述べた。
同社は今年6月に初の商用コンピュータを出荷する予定だ。4つのスタックで構成され、1台あたりの価格は約3万5,000ドル(約518万8,559円)と見込まれる。年末までに商用利用が可能な独自のクラウドシステムを構築することを目指している。