アメリカの前・現職大統領をはじめとする重要人物の警護業務を担当している秘密警護局(USSS)が、前大統領であり共和党の大統領候補であるドナルド・トランプ氏に対する暗殺未遂事件について「失敗」を認めた。キンバリー・チトル秘密警護局長は、23日(以下、日本時間)、ワシントンD.C.で行われた議会公聴会に出席した。
チトル局長は、14日米ペンシルベニア州バトラーで発生した暗殺未遂事件について説明した。当時、トランプ前大統領が選挙演説のためにその場所を訪れ、演説中に銃撃を受けた。
銃撃犯が発射した弾丸はトランプ前大統領の右耳をかすめ、大きな怪我や致命傷は負わなかった。しかし、現場では死者1名、負傷者2名が発生した。銃撃犯は現場で射殺された。
銃撃事件が発生した後、警護のミスがあったとの指摘が浮上した。選挙演説現場にいた秘密警護局の要員と警察が参加者から銃撃犯に関する情報を聞いていたが、対応が遅れたとの批判も出た。
CNNによると、チトル局長は公聴会の場で「我々の国家の指導者を守ることが任務だ」とし、「当時、我々は失敗した」と述べた。彼は「正確な数字は伝えられないが、銃撃事件当時(銃撃犯に関連する)疑わしい人物に関する情報が(秘密警護局に)入ってきたことは把握している」と付け加えた。
チトル局長は「今回の事件に関連して起こったすべてのミスについて組織の長として責任を負う」とし、「当時何が起こったのかを学ぶ必要がある。そして二度とこのようなことが起こらないよう、すべてのことを行う」と強調した。
この日の公聴会では、多くの議員がチトル長の辞任を求めた。ジェームズ・コマー下院監督委員長は「警護の失敗に責任を負うべきだ」とし、「秘密警護局の長は辞任すべきだ」と述べた。しかし、チトル局長は「辞任しない」との立場を明らかにした。