中国当局が自国民の海外留学や移民を防ぐため、夏休みを前に教師、学生、銀行員を対象にパスポートを回収し、海外旅行を制限していると22日、ラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。
報道によると、最近中国では当局からパスポートの提出や出国許可を求められたという投稿が多くのSNSに上がっていた。また、実際に中国全土の多くの大学や教育機関のウェブサイトに海外旅行を制限する内容の通知が掲載されることもあった。
名前が公開されていないある県では、先月25日付の通知文に「教育当局が全教職員に対し、学校の共産党事務所にパスポートを提出するよう指示した」と記されていた。当該事務所は中国共産党が大学を直接管理しようとする最新の試みとして設置された新しい行政事務所である。
中国の市民記者であるX(旧ツイッター)のユーザーが公開した通知文にも「党事務所が名簿を作成し、当該県の教育当局人事部が情報を保管する」との内容が含まれていた。これに加えて、パスポートを申請前に記入を強制され、申請に雇用主の承認が必要な文書の様式も掲載されていた。
中国当局による海外旅行制限は、新型コロナが流行した時期には一般的なものであった。習近平政権は長い間、人権活動家や弁護士、反体制派に対して旅行禁止命令を出してきたが、「ゼロコロナ」期間の3年間に中国の検索ポータルで移民方法を尋ねる検索が急増したため、パスポート回収の慣行が強化された。
しかし、2022年から新型コロナによる制限が終わったにもかかわらず、事実上の旅行禁止が続いており、教育界だけでなく銀行業界でもこの制限が存在するとRFAは伝えた。
これに関し、人権活動家で元教師のヘ・フェイロン氏は「このような制限は、家族全員が移民する前の第一段階として子供を海外に留学させようとする親を狙ったように見える」と述べた。子供が外国での生活に慣れる頃に家族全員が移民することが多いためだという。