
中国の公安やハッカーらが、米国の企業や自治体などに大規模な被害を与えた容疑で一斉に起訴された。
米司法省は5日(現地時間)、ニューヨーク連邦裁判所がこの内容の起訴状を公開したと発表した。
起訴状によると、中国公安の職員と中国のITサービス企業「i-Soon」の従業員8名が、2016年から2023年にかけて、メールアカウント、携帯電話、ウェブサイトなどをハッキングした容疑で起訴されたという。
米司法省は「被告らは長年にわたり、高度なハッキング技術を駆使して宗教団体、ジャーナリスト、政府機関を標的とし、中国共産党が利用する機密情報を収集した」と述べている。
AP通信は米国で活動する中国の反体制派、宗教団体、メディアなどもi-Soonの標的になったと報じた。同通信は政府関係者の話として、i-Soonがハッキングに成功したメールアカウント1件につき、約1万~7万5,000ドル(約148万~1,112万円)を請求したと伝えた。
ニューヨーク連邦裁判所とは別に、ワシントンDC連邦裁判所も中国政府と関連する中国人2人の起訴状を公開した。両被告は2011年から米国を拠点とするテクノロジー企業、シンクタンク、防衛産業、政府機関、大学などからデータを窃取し、その販売を仲介した容疑を受けている。
米司法省は「中国公安や国家安全部は被告らのようなハッカーに米国などへのハッキングを指示し、資金提供をしていた。今回の事件は中国政府が自国民による大規模なハッキング活動を意図的に奨励する特異な役割を果たしていることを示している」と指摘した。
一方、在米中国大使館の劉鵬宇報道官はAP通信に対し、今回の起訴容疑を「誹謗中傷」と反論。「根拠のない憶測や非難ではなく、十分な証拠に基づいてサイバー事件を判断すべきだ」と述べた。