熱いものに触れてやけどをする経験は誰もが一度はしたことがあるだろう。多くの場合、冷たい水で応急処置をすればすぐに症状は治まるが、重度のやけどになると後遺症が残ることもある。特に暖房器具を頻繁に使用する冬季には、細心の注意が必要だ。
やけどは損傷の深さによって1度から3度に分類される。1度のやけどは表皮層のみが損傷した状態を指す。2度のやけどは表皮層と真皮層まで損傷が及んだ場合で、さらに浅い2度火傷と深い2度火傷に分けられる。3度のやけどは表皮、真皮の全層、そして皮下脂肪層まで損傷が及んだ状態を指す。
やけどは症状によっても区別できる。1度のやけどでは皮膚が赤くなるが、痛みはそれほど強くない。水疱も形成されない。浅達性2度熱傷では上部真皮層まで損傷が及び、水疱が形成される。
深達性2度熱傷では下部真皮層まで損傷が及び、皮膚が蒼白になり、感覚が失われることもある。3度のやけどでは神経損傷による重度の浮腫が生じるが、逆説的に痛みは軽度になる。
跡が残る可能性は1度火傷や浅い2度火傷では低い。1度火傷は跡が残らず治ることがほとんど。浅い2度火傷も適切な治療を受ければ2週間以内に回復し、跡が残るリスクも低い。一方で、深い2度火傷は回復に3週間以上かかり、跡や色素沈着が残りやすい。3度火傷は皮膚が萎縮したり、肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)といった跡が残る。
特に、冬季には暖房器具、ホットパック、電気毛布などを使用する機会が増えるため、低温やけどの発生リスクも高まる。一般的なやけどは100度以上の高温により皮膚が損傷するが、低温やけどは40〜50度程度の比較的低い温度に長時間さらされることで発生する。人体が極度の熱さを感じる温度に達しないため回避反応が起こらず、長時間の曝露により皮膚組織に熱が蓄積され、皮膚細胞が損傷する。
通常の高温によるやけどに比べ、低温やけどは初期症状が軽微なため見過ごされやすく、治療が遅れがちだ。しかし、一般的なやけどとは異なり皮膚深部まで進行する可能性があるため、早期発見・早期治療が極めて重要となる。
やけどの応急処置として最も重要なのは、発生直後に流水や冷水で冷却することだ。2度以上のやけどは専門的な治療が必要なため、速やかに医療機関を受診すべきである。水疱が形成された場合、これを破ることは二次感染のリスクを高めるため避けるべきだ。既に破裂している場合は、抗生物質軟膏の塗布が有効である。