中国の名門校である清華大学と北京大学の修士・博士課程修了者たちが、就職難のため「教育職」に殺到している。
江蘇省蘇州の中学校が修士・博士課程修了者を教師として募集したところ、「中国トップクラスの名門大学」である清華大学と北京大学の出身者が大半を占めたという。
2日付の「時務新聞」は、採用された13人の新任教師のうち、清華大学出身が6人、北京大学出身が4人だったと報道した。博士号取得者は8人で、学士号取得者や教育大学出身者は1人もいなかった。
清華大学出身の6人のうち4人は博士号取得者で、物理、化学、生物などを担当する。蘇州中学は当初から博士課程修了者の採用を目指していた。ただし、修士課程修了者の場合、国家奨学金を3回以上受賞しているか、高校在学中に全国オリンピックで3位以内に入賞していれば応募可能とした。
蘇州の中学に超一流大学の高学歴者が殺到した背景には、研究開発都市として知られる蘇州の財政が比較的潤沢で、待遇が良いことがある。地方教育当局は、他地域から来る新規採用者に対し、住宅補助や移住支援金などのインセンティブを積極的に提供し、人材確保に努めている。
新華社通信などの国営メディアは、高学歴人材が中等教育機関の教師として採用されるのは、当局が基礎教育を重視しているためだと指摘している。しかし、何よりもこの現象は、経済低迷による就職難の深刻化を示している。一流大学を卒業しても適切な職が見つかりにくい状況だ。景気後退の中で、学歴インフレがさらに加速しているとの指摘も出ている。