「家賃稼ぎで命落とす」
ウイスキー一気飲み死亡の21歳インフルエンサー
タイの20代インフルエンサーがウイスキー2本を一気に飲むチャレンジに挑戦した後、死亡する事件が起きた。彼は滞納家賃の支払いのため、このチャレンジに応じたとされ、悲しみの声が広がっている。
先月26日(現地時間)、タイのメディア「バンコク・ポスト」によると、「バンク・レスター(Bank Leicester)」のニックネームで知られる21歳のタナカン・カンティ(Thanakan Kanthee)という男性は、25日午前3時40分頃、タイ中部チャンタブリ地域の誕生日パーティーで、約3万バーツ(約12万9,000円)を報酬に、10〜20分の間に350mlのウイスキー2本を連続して飲むチャレンジに挑戦し、嘔吐して倒れた。
その後、彼は意識不明の状態で地域の病院に緊急搬送されたが、急性アルコール中毒により死亡した。
事件当時パーティーに参加していた人々が撮影した動画がSNS上で拡散しており、動画にはタナカンが急いで酒を飲む姿が映っている。
タナカンが病院に搬送される際、一部のパーティー参加者が笑いながら携帯電話で撮影している様子が捉えられ、現地のネットユーザーから怒りのコメントが相次いだ。
バンコクのスラム街出身のタナカンは、生後2ヶ月で両親が離婚し、祖母に育てられた。幼い頃から生活を支えるため、7歳で市場に立ち花輪を売りながら祖母を養っていたという。
客を呼び込むために即興ラップを披露する姿がオンラインで話題となり、人気を集めた彼は、その後SNSでさまざまなチャレンジを始めた。すぐに金銭と引き換えに手指消毒剤を飲んだり、わさびを大量に食べるといった過激で侮辱的なチャレンジを行うインフルエンサーとして有名になった。
「知っていれば止められた」 涙する80歳祖母
今年80歳になる彼の祖母は、糖尿病や高血圧などの持病を抱えており、タナカンが家計を支える状況だった。
事故当日も、彼は滞納していた家賃を稼ぐために外出したとされている。生前、彼はSNSに「家族を養うために、金持ちからお金をもらって侮辱を受ける覚悟ができている」と投稿していた。
この事実を後に知った祖母は「孫が侮辱を受けてまでお金を稼いでいたなんて知らなかった。もし知っていたら、絶対に止めたのに」と涙ながらに語った。タナカンは生活費を稼ぐため、侮辱的なチャレンジにも応じていた。
海外メディア「デイリー・メール」によると、チャンタブリ地方警察は容疑者エカチャート・ミープロン(32)を過失致死の疑いで逮捕した。
警察の発表によれば、事件はエカチャートの母親であるスプラニ・プンクシが主催した誕生日パーティーで起きたとされている。
夜11時頃、パーティー会場に到着したタナカンに対し、エカチャートは「350mlのリジェンシーウイスキーを1本飲み干せば1万バーツ(約4万5,000円)を渡す」と提案した。さらに、1本目を飲み終えると「もう1本飲めば3万バーツ(約13万5,000円)を渡す」と追加の条件を提示した。
すでに酒に酔っていたとみられるタナカンは、提示された金額のため挑戦を受け入れ、約10〜20分の間に瓶を空にした。
容疑者エカチャートは全ての罪を認め、チャンタブリ地方裁判所は彼に対し12日間の勾留を命じた。
タイ刑法によると、過失致死罪には最大10年の懲役または最大2万バーツ(約9万円)の罰金が科される可能性がある。
現地の ネットユーザーは、苦しむタナカンの姿を撮影しながら笑っていたパーティー参加者たちと、無謀な挑戦をさせたエカチャートの行動に激しい怒りを示している。