中国製ノンフライヤーが個人情報を盗み出し、中国政府に送っている「スパイ」であるという突拍子もない主張が、オンライン上で話題となっている。ファクトチェック専門サイト「スノープス(Snopes)」は、11日(現地時間)にこのような内容がSNS上で拡散されていることを確認し、その真偽を調査した。
スノープスによれば、この中国製ノンフライヤーに関する「スパイ説」は、2022年11月に英国の消費者監視機関が発表した報告書に端を発している。この報告書では、シャオミやコソリ、アイゴスターなど、中国企業が供給するノンフライヤーのAndroidアプリが、ユーザーのオーディオ録音や位置情報の権限を要求していることを指摘している。さらに、これらの情報がユーザーに明示されることなく中国のサーバーに送信されていると報告された。
これをきっかけに、中国製ノンフライヤーを疑う投稿がSNS上で相次いだ。技術ジャーナリストのキム・コマンドーは、2022年12月に共演者のアンドリュー・バビンスキーとこの話題について討論した映像をInstagramに投稿した。また、ウェブアーカイブサイト「アーカイブトゥデイ」には、ノンフライヤーの写真とともに「中国のスパイが建物内にいる」という投稿が掲載された。
しかし、スノープスはSNS上で広まっている噂とは異なり、中国製ノンフライヤーのアプリが収集した情報が「スパイ活動」の目的で使用されたという証拠は見つからなかったと結論付けた。また、「スパイ活動」という言葉が、一般的な「監視」の意味で用いられている可能性があるとも補足している。スノープスは、「中国製ノンフライヤーのデータ収集がユーザーに十分に説明されていない点は問題視されるべきだが、それをもって『スパイ活動』と断定するのは時期尚早」との見解を示している。