ギャンブルで多額の借金を抱えた男性が、独自のアイデアで人生を立て直した。
香港メディア「サウス・チャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)」によれば、朝日新聞が報じた「褒めるおじさん」として知られる43歳のA氏は、25年前にパチンコなどのギャンブルにより、600万円の借金を負ったという。
父親の脳卒中と住宅ローンの問題が重なり家を失った彼は、2021年、わずか500円を手に仕事を辞めた。特別な才能がなかった彼は、路上で人々を褒めるサービスを始めることを決意した。
「世の中に褒められることを嫌う人はいない」という信念のもと、看板を持って街に出た彼は、相手を1分間熱心に褒め、その対価としてチップを受け取るようになった。
1日平均30人以上を褒め、約1万円を稼ぐほか、チョコレートやお菓子、飲み物などの贈り物も受け取っている。A氏は客の状況に応じて、別れや失業などで辛い時期を過ごす人々に寄り添い、感動を与えている。
常連客の若手芸人(24歳)は、幼少期のいじめや吃音による自尊心の低下を経験したが、A氏との出会いを通じて自信を取り戻したと伝えた。
A氏はこれまでに31都道府県を訪れており、今後は全47都道府県で活動する計画を立てている。現在は格安ホテルなどの宿泊施設で生活しながら、「今この瞬間を楽しむことが最も重要」と信じ、後悔のない人生を送っている。
A氏は「初対面の客の内面を褒めるのは誠実さに欠ける恐れがあるため、まずは外見から褒め始める」と語る。また、「他人が喜びを感じる時、私も幸せを感じる。だからこそ3年間この仕事を続けられた」と付け加えた。