「お見合い」破談から一転、再結合へのカウントダウン?日産・ホンダ連合
日産、業績低迷で経営陣を総入れ替え
新社長に抜擢されたのはメキシコ出身のエスピノーサ氏
日産のメインバンクみずほ銀行らは
ホンダとの経営統合再開に期待感

業績低迷にあえぐ日産自動車が経営陣を大胆に刷新し、再建への道を模索し始めた。先月水の泡となったホンダとの経営統合協議が再燃するかが業界の最大の関心事となっている。
12日、日経などの報道によると、日産は前日の取締役会で内田誠社長を今月末で退任させる決断を下したという。
バトンを受け取るのは日産の新車戦略を統括するCPO(最高企画責任者)のイバン・エスピノーサ氏。40代のメキシコ人で、2003年にメキシコ日産入りし、2018年からグローバル商品企画の指揮を執ってきた実力者だ。
内田社長は、ゴーン元会長の電撃逮捕で混乱の極みにあった2019年12月に就任。最大株主のルノー(仏)との資本関係を再構築し、自立経営路線を推進。コロナ特需の追い風で一時は業績回復に成功していた。

ところが、日産は米国や中国市場での販売不振に苦しみ、2024年度(2024年4月~2025年3月)には約800億円の赤字転落が避けられない見通し。取締役会は内田社長の経営責任を問い、トップ交代が不可避と判断したようだ。
昨年からホンダとの経営統合で活路を見出そうとしていた日産だが、先月に交渉中断を公表。経営再建への具体策に物足りなさを感じたホンダ側が、日産の子会社化プランを提示したことで、日産経営陣が激しく反発し、話し合いは暗礁に乗り上げた。
この交渉の主役だった内田社長ら現経営陣の多くが退場することで、新体制のもとでホンダとの再交渉が始動するかに注目が集まっている。とりわけ日産のメインバンクであるみずほ銀行は、ホンダとのアライアンスこそが日産生き残りの切り札だと強く後押ししているとされる。
この件について、エスピノーサ氏は就任会見で「(ホンダとの再交渉は)今はコメントできない」としながらも、「まずは社内の結束力を高め、安定と成長軌道への回帰が優先課題だ」と語った。

日経は「ホンダとの統合問題だけではなく、台湾の電子機器大手フォックスコンの動きも要注目。日産の経営陣が大幅入れ替えとなったことで、ホンダとの再協議へのハードルは一気に下がった」との見方を示している。