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先月17日午前7時30分頃、米ニューヨーク・マンハッタンのイースト34丁目にある「NYCフェリー」乗り場に100人以上の市民が集まった。交通渋滞が激しいマンハッタンでは通勤時間帯に車でウォール街まで移動すると50分以上かかるが、フェリーを使えば20分で到着する。マンハッタン在住のジェシカ・ニコル氏(33歳)は「2年前から老朽化した地下鉄の代わりにフェリーで通勤している。料金が手頃で清潔でアクセスも良い」と語った。
○「市民の足」となったリバーバス
同月18日午後5時、英ロンドンのインバンクメントにある「ウーバーボート」乗り場でも20人ほどが乗船を待っていた。船は時刻表通り午後5時23分に到着し、乗客を乗せた。安全要員2人がチケットを確認し、乗降の補助を行う。乗降にかかる時間は10分未満だった。船内ではヘッドセットを着けた乗客がノートパソコンを広げ、テーブル席で仕事をしていた。ウーバーボート内のカフェで働くテムズクリッパーズ(運営会社)の従業員は「通勤時間帯の交通渋滞が激しいため、通勤手段として利用する人が増えている」と述べた。
アメリカとイギリスを代表する大都市、ニューヨークとロンドンではリバーバスが地下鉄やバスに匹敵する公共交通機関として定着している。手頃な料金、優れたアクセス性、他の交通手段との連携がその成功の要因とされている。
ニューヨーク中心部でリバーバスの運行が始まったのは2017年。現在、150人から最大350人を乗せられる38隻の船が、ハドソン川とイースト川沿いの25か所の乗り場を結び、6路線がマンハッタン一帯を網羅している。ニューヨーク市経済開発公社(NYCEDC)によると、年間平均利用者数は約600万人。昨年は700万人を超え、過去最高を記録した。
○年間平均利用者600万人
NYCフェリーの乗船料は1回4.5ドル(約684円)と手頃で、10回分の乗船券を一括購入すると29ドル(約4,4506円)となる。地下鉄・バスの料金(2.9ドル/約441円)とほぼ同水準で、気軽に利用できる。
ニューヨーク市の行政区であるスタテン島とマンハッタン南部を結ぶ「スタテン島フェリー」も通勤の重要な手段となっている。地下鉄で1時間以上かかる移動時間がフェリー利用により半減し、毎日約7万人が利用している。ニューヨーク市はこのフェリーを市の財源で運営し、無料で提供している。年中無休で24時間運行し、定時運行率は94%に達する。
ロンドンのテムズ川を運航するウーバーボートも通勤手段として定着している。ロンドン南西部の住宅地パトニーから金融街シティ・オブ・ロンドンに向かう乗客の多くは書類かばんを持った会社員である。ウーバーボート関係者によると、パトニー地域の住民の約3%が利用しているという。乗り場にはスロープが設置され、自転車を利用する通勤客にも対応している。船内には14台の自転車を収容できるスペースが確保されている。
○陸上交通との連携で利便性向上
NYCフェリーは地下鉄やバスなどの陸上公共交通機関と緊密に連携しており、その利便性が強みとなっている。ニューヨークのフェリー乗り場は地下鉄駅やバス停が集中的に配置されており、乗り換え距離を最小限に抑えている。例えば、イースト34丁目駅からNYCフェリー乗り場までは徒歩10分以内で到達でき、駅前からは連絡バスも運行されている。NYCフェリー関係者は「主要路線の乗り場周辺は公共交通機関や徒歩でのアクセスを考慮して設計されており、どの交通手段を利用しても乗り場に簡単にアクセスできる」と述べた。
ロンドンのウーバーボートも地下鉄やバスとの接続が良好で乗り場からインバンクメント駅(地下鉄駅)まで徒歩5分ほどの距離にある。乗船券の購入も簡便でロンドン交通局(TfL)が発行するオイスターカードで、別途チケットを購入することなく乗船できる。また、観光客はウーバーアプリやテムズクリッパーズアプリを通じて簡単にチケットを購入できる。テムズクリッパーズは2020年にウーバーと提携し、昨年には540万ポンド(約10億1,421万円)の税引前利益を計上し、2019年(160万ポンド/約3億51万円)から初めて黒字転換を果たした。TfL関係者は「公共交通機関へのアクセスの良さはロンドン市民の生活の質を大きく左右す重要な要素だ」と語った。